2026年9月28日、ハラスメント対策クラウド PHYLAX(フィラクス) の提供を開始しました。
3日後の10月1日には、改正労働施策総合推進法によるカスタマーハラスメント対策の義務化と、改正男女雇用機会均等法による求職者等セクハラ防止措置の義務化が施行されます。企業規模による猶予はありません。
このタイミングでの提供開始にした理由を含めて、PHYLAXが何をするサービスなのか、そして何をしないサービスなのかをご説明します。
1. PHYLAXとは
PHYLAXは、ハラスメント・コンプライアンス・メンタルヘルスの「学ぶ・測る・残す」をひとつにまとめた法人向けの対策クラウド(SaaS)です。
名称はギリシャ語の φύλαξ(番人・守護者)に由来します。
コンセプトは、トップページにも掲げているとおり一つです。
ハラスメント対策を、「やっている」から「記録に残せる」へ。
対策をしていない企業は、実はそれほど多くありません。厚生労働省の「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」では、パワハラの予防・解決の取組を実施している企業は全体の95.2%にのぼります。
にもかかわらず現場で起きているのは、「やってはいる。ただ、それを示せない」という状態です。研修の出席簿が部署ごとのExcelに散らばり、理解度は測っておらず、中途入社者の受講状況は誰も把握していない。いざ行政の指導や労使トラブルに直面したとき、手元に出せるものがない。
PHYLAXは、この「示せない」を埋めるために作りました。
2. なぜ制作会社がハラスメント対策クラウドを作ったのか
PHYLAXを開発したコウヘイデザイン株式会社は、2002年創業の制作・デジタルマーケティングの会社です。ウェブ制作、動画制作、ブランディング、SNS運用などを手がけてきました。ハラスメント対策の専業ベンダーではありません。
きっかけは、自社の置かれた状況でした。
法改正の内容を調べるほど、**中小企業にとっての難所は「何をすべきか分からないこと」ではなく、「分かった後、それを継続して回し、記録に残す手段がないこと」**だと分かってきました。指針を読めば、講じるべき措置は書いてあります。規程のひな形も出回っています。しかし、全社員に周知し、理解度を確認し、新しく入った人にも同じことをして、それを数年分残しておく——この運用を専任担当者のいない会社が手作業でやり切るのは、現実的ではありません。
一方で、既存のeラーニングは汎用的な教材が中心で、2026年10月から新たに義務化されるカスハラ・就活セクハラの論点までは踏み込んでいないものが多く、導入コストも中小企業の水準には合いませんでした。
ないなら作る、という判断でここまで来ました。
開発にあたって決めたことが三つあります。
設問は根拠のある形で作り、専門家の監修を通す。 法務領域は弁護士、メンタルヘルス領域は精神科医の監修を受けています。条文と指針に当たって設問を作り、監修で指摘を受けて直す、という工程を全設問について繰り返しました。
一般従業員と管理職の設問を分ける。 一般従業員向けは「自分がやってはいけないこと」を問う内容です。一方、管理職向けは「部下から相談を受けたときにどう動くか」を問う対応判断型にしました。ハラスメント事案がこじれる原因の多くは、加害行為そのものよりも管理職の初動にあるためです。管理職向けの設問は340問を用意し、全問について監修を受けています。
正解の暗記で終わらせない。 選んだ選択肢に応じて、生成AIが「なぜその判断が適切/不適切なのか」を個別に解説します。定型の解説文を出し分けるのではなく、回答内容に合わせて生成します。判断基準そのものが身につかなければ、現場の応用が利かないからです。
3. 提供開始時点でできること
学ぶ
- ハラスメント法定6類型に対応した設問と解説(パワハラ/セクハラ/マタハラ/ケアハラ/カスハラ/就活セクハラ)
- 選択式で回答すると、生成AIが一人ひとりに個別解説を返します
- 一般従業員向けと管理職向けを分けて提供
- 厚生労働省が公開しているカスタマーハラスメント対策企業マニュアル等を標準収録
- 多言語表示に対応。設問・解説・結果を外国籍従業員の母国語で表示できます
測る
- 回答内容から理解度をスコア化し、要復習(59以下)/基礎(60〜74)/実務(75〜89)/十分(90以上) の4段階で表示
- 全社・部署別・個人別、領域別に理解度を可視化
- 未受講者・要復習者を一覧で把握
「営業部はカスハラの判断基準が弱い」「採用に関わる部署で就活セクハラの理解度が低い」といった形で、次に手を打つべき対象が特定できます。全社一律の年1回研修から、必要な部署に必要な内容を足す運用に切り替えられます。
残す
- 受講・回答の履歴が自動で蓄積されます。出席簿の回収も集計も発生しません
- 部署別・個人別・期間別にCSV/PDFで出力できます
- 中途入社者や異動者の受講状況も同じ画面で追跡できます
この記録は、行政対応の場面だけでなく、労使紛争において「会社は教育を実施していた」ことを示す材料になります。
相談を受ける
管理画面から従業員の相談リクエストを受け付け、対応状況を追跡できます。高ストレス傾向の回答や看過できない内容の回答はアラートとして一覧表示されます。
標準では社内のご担当者が窓口となる形です。社外窓口が必要な場合は、オプションとして提携弁護士による外部窓口を設置できます(この場合、導入企業と弁護士が直接ご契約いただきます)。
4. 使い始めるまで
- お問い合わせ・資料請求 フォーム、メール(info@phylax-ai.jp)、お電話(03-6452-5323/平日10:00〜17:00)で承ります。
- アカウント発行と社員登録 登録する従業員の情報をご準備いただきます。登録作業の代行もオプションでご用意しています(100名まで2万円/税別)。
- 運用開始 対象者に案内を出し、受講を開始します。管理画面で進捗と理解度を確認しながら進めてください。
初期費用はいただきません。月額制です。
5. 料金
月額・税別。登録人数に応じた価格です。
| 登録人数 | 月額(税別) |
|---|---|
| 〜20名 | 50,000円 |
| 〜100名 | 100,000円 |
| 〜200名 | 200,000円 |
| 〜300名 | 300,000円 |
| 300名超 | 要見積もり |
オプション
- 自社マニュアル・就業規則の作成および搭載/既存規程の搭載
- 社員登録の代行入力(100名まで2万円、200名まで4万円、300名まで6万円、それ以上は要相談)
- オリジナル動画制作(10万円〜)
- 社外相談窓口の設置(提携弁護士と導入企業が直接契約。費用は別途お見積もり)
東京都の奨励金について
東京都内に本社を置き、常時雇用する従業員が300人以下の中小企業等を対象に、カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金(定額40万円) が実施されています。
2026年度の第2回募集は、受付期間が令和8年10月23日(金)〜11月6日(金)、予定件数5,000件で、事前エントリー後の抽選を経て本申請という流れです。
支給要件は、カスタマーハラスメント対策マニュアルの作成に加えて、「録音・録画環境の整備」「AI活用システムの導入」「外部人材の活用」のいずれか1つに取り組むこととされています。
PHYLAXは生成AIを用いたシステムですが、奨励金の要件に該当するかどうかは東京都の審査によります。 申請を検討される場合は、必ず東京しごと財団の最新の募集要項をご確認ください。マニュアル作成については、当社のオプションでも対応可能です。
6. 提供開始時点の範囲と、今後の追加予定
正直にお伝えしておきます。
提供開始時点でご利用いただけるのは、ハラスメント法定6類型です。 コンプライアンス領域は監修が完了したものから順次追加します。追加時に追加料金はいただきません。
メンタルヘルス領域については、設問と結果表示、高ストレス傾向のアラートをご利用いただけます。
「3領域対応」と掲げながら、すべてが揃ってからリリースするという選択肢もありました。それをしなかったのは、10月1日の義務化に間に合わせることを優先したためです。カスハラと就活セクハラは、10月から新たに義務の対象になる領域です。 ここを後回しにしては意味がありません。
7. PHYLAXが「しない」こと
商品紹介で最も大事な部分なので、明記します。
事業主に求められる措置は、方針の明確化と周知・啓発、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応、抑止のための措置、プライバシー保護と不利益取扱いの禁止など、複数にわたります。
このうちPHYLAXが担うのは、主に「教育・周知」と「実施記録の管理」です。
- 方針そのものの策定 — 導入企業の業務実態に即して定める必要があります
- 相談窓口の運用と個別事案への事後対応 — 事実確認、被害者への配慮、行為者への措置は人が行う仕事です
- 悪質な事案への抑止措置 — 警告文の発出、出入り禁止、法的手続の判断は、顧問弁護士とともに進める領域です
これらは導入企業側の対応になります。規程整備や体制づくりを含めてご相談いただける場合は、コウヘイデザインから別途ご提案します。
また、PHYLAXは厚生労働省の認定・推奨を受けた製品ではありません。 収録している厚労省マニュアルは、公開資料をシステム内から参照できる形で搭載しているものです。
8. 関連記事
法改正の中身や、記録の残し方については、ブログで個別に解説しています。
- カスハラ対策の義務化で企業がすべきこと|2026年10月施行
- 就活セクハラ義務化、採用担当が押さえる3点|2026年10月施行
- 「研修をやった」を、どう証明するか|ハラスメント研修の記録と証拠
- ハラスメント研修、名簿だけで大丈夫?証拠になる記録の残し方
お問い合わせ
10月1日までにすべてを整える必要はありませんが、10月1日を過ぎて何も講じていない状態は避けたいところです。方針の策定と窓口の設置に今すぐ着手し、教育と記録はPHYLAXで回す。この分担であれば、残りの期間でも形になります。
資料請求・お問い合わせを受け付けています。デモ画面をご覧いただきながらのご説明も可能です。
ハラスメント対策クラウド PHYLAX(フィラクス) 提供開始:2026年9月28日 phylax-ai.jp 電話:03-6452-5323(平日10:00〜17:00)/メール:info@phylax-ai.jp 開発・提供:コウヘイデザイン株式会社
参考・出典
- 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和8年2月26日 厚生労働省告示第51号)
- 厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」
- 厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」(令和6年3月)
- 東京しごと財団「カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金」
※本記事は2026年9月時点の情報に基づいています。仕様・料金は変更される場合があります。奨励金の支給要件・受付期間は必ず東京都の最新の公募要領をご確認ください。
