ホーム / ブログ / ハラスメント / 日本のハラスメント理解度はどのくらいか|厚労省デ…
BLOG

日本のハラスメント理解度はどのくらいか|厚労省データで見る「わかっているつもり」の実態と、企業がいま取り組むべきこと

厚生労働省

「パワハラ」や「セクハラ」という言葉を知らない社会人は、いまではほとんどいないでしょう。ところが、目の前の言動がハラスメントに当たるかどうかを自信を持って判断できる人は、それほど多くありません。この記事では、厚生労働省の実態調査や民間の意識調査をもとに、日本のハラスメント理解度(ハラスメントリテラシー)がどの水準にあるのかを整理します。そのうえで、2026年10月にカスタマーハラスメント対策などが義務化された現在、企業が何から手をつければよいのかを解説します。

この記事の要点

先に結論をまとめておきます。

  • 日本では「ハラスメント」という言葉は広く知られていますが、境界線を「正しく理解している」と答える人は民間調査で15〜28%にとどまります。
  • 厚生労働省の令和5年度調査では、パワハラ対策を実施している企業は95.2%でしたが、勤務先が取り組んでいると認識している労働者は41.8%でした。制度を整えても、その中身が従業員に伝わっていない状態が続いています。
  • ハラスメントを受けた人の割合は下がった一方で、セクハラを受けても「何もしなかった」人は39.8%から51.7%に増えました。理由として最も多いのは「何をしても解決にならないと思ったから」です。

つまり、日本のハラスメント対策の課題は「言葉を知らないこと」ではありません。知識を職場での具体的な判断と行動につなげられていないことが、いちばんの課題だといえます。

ハラスメントリテラシーとは何か

ハラスメントリテラシーとは、職場の言動がハラスメントに当たるかどうかを判断し、自分が当事者や周囲の人になったときに適切に行動できる力のことです。法律で定められた用語ではありませんが、この記事では次の三つを含むものとして扱います。

一つ目は、パワハラ・セクハラ・カスハラなどの類型と、その判断の基準を知っていることです。二つ目は、自分の言動が相手にどう受け止められるかを想像し、加害を避けられることです。三つ目は、被害を受けたり見かけたりしたときに、相談窓口などの社内の仕組みを使えることです。

言葉の意味を知っているだけでは、この三つのうち最初の一部を満たしているにすぎません。そのため、理解度を測るときには「知っているか」だけでなく「判断できるか」「行動できるか」まで見る必要があります。

データで見る日本のハラスメント理解度

ここからは、公的調査と民間調査の数字をもとに、理解度の実態を四つの観点から見ていきます。なお、厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」の最新版は令和5年度版(2024年5月公表)です。2026年10月の義務化後の変化は、全国規模の公的データではまだ確認できません。

境界線を正しく理解している人は2割前後にとどまる

ハラスメントの境界線について自己評価をたずねた民間調査は、少なくとも3本あります。いずれも数百人規模のインターネット調査であり、日本全体を代表する数字ではありません。それでも、結果はよく似た傾向を示しています。

調査(実施主体・時期・対象)正しく理解している理解しているつもりだが自信がない
ライボ(2023年3月、社会人354人)28.0%53.1%
Job総研(2024年2月、就業者587人)26.2%47.7%
労務SEARCH(2024年6〜7月、300人)15.0%62.3%

このように、「正しく理解している」と答えた人は15〜28%で、「つもりだが自信がない」という人が5〜6割を占めています。個々の数字の精度は高くありませんが、自信のない層が多数派であるという傾向は安定しているとみてよいでしょう。

また、行為ごとに見ると、判断が分かれる領域があることもわかります。BIGLOBEの調査(2022年、就業者546人)では、性的な噂話を「ハラスメントだと思う」人は71.4%でした。これに対して、「ちゃん・くん」付けの呼び方や歓迎会への誘いでは判断が割れています。性的な言動についてはおおむね合意がある一方で、親しさのつもりの呼び方や業務時間外の連絡、飲み会への誘いなどは、人によって受け止め方が大きく違うということです。

「若い世代ほど敏感」とは限らない

ハラスメントの話題では、「若い世代は敏感で、上の世代は鈍い」と語られることがよくあります。しかし、データは必ずしもそうなっていません。日本インフォメーションの調査(2024年3月、23〜65歳の有職者1,025人)では、ほとんどの事例で上の年代のほうが「ハラスメントだと思う」と答えた割合が高くなりました。その一方で、60代の6割近くが「境界線がわからない」と答えています。

つまり、上の世代はハラスメントを強く意識しているものの、判断に自信を持てていないと読み取れます。世代でひとくくりにするのではなく、一人ひとりの理解度を確かめることが大切だといえるでしょう。

企業の95.2%が「対策している」のに、労働者の6割は「特にない」と感じている

厚生労働省の令和5年度実態調査(企業7,780社、労働者8,000人)は、現時点で最も信頼できる全国データです。この調査で、パワハラの予防・解決に取り組んでいる企業は95.2%にのぼりました。

一方で、労働者に聞くと結果は大きく変わります。勤務先が取り組んでいると認識している人は41.8%で、パワハラについて把握している取組が「特にない」と答えた人は62.4%でした。さらに、相談窓口があることを知っている人は23.2%にとどまっています。

企業と労働者の認識の差(厚生労働省 令和5年度調査)

ただし、企業調査と労働者調査は別々に集めた回答です。同じ会社の経営側と従業員を比べた数字ではない点には注意が必要です。そのうえで読み取れるのは、窓口や方針を「設置」していても、従業員への「周知」まで届いていない企業が多いということです。実際に、同じ調査で企業の59.6%が「ハラスメントかどうかの判断が難しい」ことを取組上の課題の1位に挙げています。

被害の経験率は下がったが、声を上げない人はむしろ増えている

令和2年度と令和5年度の調査を比べると、過去3年間にハラスメントを受けた人の割合は下がっています。パワハラは31.4%から19.3%へ、セクハラは10.2%から6.3%へと減りました。

しかし、受けた後に「何もしなかった」人は、セクハラで39.8%から51.7%へ増えています。何もしなかった理由で最も多いのは「何をしても解決にならないと思ったから」で、パワハラでは65.6%、セクハラでは52.7%でした。

セクハラを受けた後に「何もしなかった」人の割合

この結果から考えられるのは、相談しても状況が変わらないと従業員が感じている職場が少なくないということです。なお、労働局へのパワハラの相談件数は、令和4年度の46,149件から令和6年度には70,429件へと増えています。社内で解決できないと感じた人が、外部の窓口に向かっている可能性もあります。ただし、これはデータから考えられる推測であり、因果関係までは確認できていません。

管理職は萎縮し、加害の自覚は低い

管理職の側にも課題があります。パーソル総合研究所の調査(2022年、上司635人・部下2,327人)では、上司の81.7%が「ミスをしてもあまり厳しく叱咤しない」と答えました。その一方で、部下の33.3%は「上司は自分を育てる気がない」と感じています。境界線に自信がないまま関わりを控えることが、部下からは育成の不足として受け止められているわけです。なお、この調査は人材サービス会社の研究機関によるものです。

また、加害の自覚は被害の経験率と比べて明らかに低く出ています。厚生労働省の委託調査では、自分がハラスメント行為をした、または指摘されたことがある人は5.2%でした。同じ調査で、過去3年間にパワハラを受けた人は19.3%です。漠然とした不安はあっても、自分の具体的な言動をハラスメントとして認めるところまでは至っていない人が多いと考えられます。

2026年10月の義務化で、企業に求められることが増えた

2025年6月に成立した改正法により、カスタマーハラスメントと、求職者等へのセクシュアルハラスメントについて、事業主の措置義務が新しく設けられました。この措置義務は2026年10月1日に施行されています。これで、パワハラ・セクハラ・妊娠出産等に関するハラスメント・カスハラ・求職者等へのセクハラの5類型について、従業員を1人でも雇うすべての事業主が防止措置を講じる義務を負うことになりました。

措置義務には、方針の明確化と周知、相談体制の整備、事案が起きたときの迅速で適切な対応などが含まれます。違反した場合は、行政による助言・指導・勧告の対象になり、勧告に従わないと企業名が公表されることがあります。

一方で、中小企業の対応は遅れています。東京商工リサーチの調査(2024年8月、5,748社)では、カスハラ対策を「特に講じていない」中小企業は73.4%でした。また、2026年4月の会社員300人への調査では、勤務先の義務化について「今回初めて知った」人が51.3%いました。義務化をきっかけに方針や窓口を整える企業は増えると考えられます。とはいえ、先ほど見たとおり、整えただけでは従業員に伝わらないという課題が残ります。

ハラスメント理解度を上げるために企業ができる3つのこと

ここまでのデータを踏まえると、企業が取り組むべきことは次の三つに整理できます。

1. 判断の基準を具体的な場面で共有する

ハラスメントの定義を研修で一度説明するだけでは、判断が分かれる場面で迷う従業員は減りません。そこで、「業務時間外の連絡」「人前での叱責」「飲み会への誘い」のように、職場でよくある場面を題材にして、どこからが問題になるのかを確かめる機会をつくることが大切です。特に管理職には、指導とパワハラの違いを具体的な事例で理解してもらう必要があります。境界線がわかれば、必要な指導まで控えてしまう萎縮も減らせるはずです。

2. 方針と相談窓口を「知っている」状態まで届ける

先ほど見たとおり、相談窓口があることを知っている労働者は23.2%でした。窓口を設けたら、入社時の説明、定期的な案内、社内ポータルへの掲載などで繰り返し伝えることが欠かせません。加えて、相談した結果どう対応したかを、個人が特定されない範囲で示すことも有効です。そうすれば、「何をしても解決にならない」という不信を少しずつ減らしていけます。

3. 理解度を定期的に確かめ、記録を残す

研修を実施しても、従業員の理解が深まったかどうかは測らなければわかりません。理解度を数値で確かめ、部署ごとの傾向を把握すれば、重点的にフォローすべき部署や類型が見えてきます。また、教育の実施記録を残しておくことは、会社として防止に取り組んできたことを説明するための材料にもなります。

フィラクス(PHYLAX)で、従業員の理解度を確かめる

こうした取り組みを支えるツールの一つとして、コウヘイデザイン株式会社が提供するハラスメント対策クラウド「フィラクス(PHYLAX)」があります。

フィラクスでは、コンプライアンス・ハラスメント・メンタルヘルスの3領域について、設問に答えながら理解度の確認と診断ができます。ハラスメントの領域は、パワハラ・セクハラ・マタハラ・ケアハラ・カスハラ・就活等セクハラの法定6類型に対応しています。設問は職場でよくある場面を題材にしており、各類型20問以上を用意しています。1類型あたりの所要時間は約15分です。回答ごとに生成AIが解説を表示し、判断の分かれ目を示します。そのため、正解・不正解だけで終わらず、なぜそう判断するのかまで学べます。設問は、法務領域を弁護士、メンタルヘルス領域を精神科医が監修しています。

結果は「要復習・基礎・実務・十分」の4段階で表示されます。管理者は、受講完了率や部署別の理解度、未受講者の一覧を管理画面で確認できます。また、従業員用とは別に管理職用の設問も用意しているため、指導とパワハラの境目を管理職に確かめてもらうこともできます。さらに、外国籍の従業員に向けて、日本語・英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ポルトガル語の6言語に対応しています。

料金は登録人数に応じた月額制で、20名までなら月額5万円(税別)です。現在、登録20名までを3ヶ月無料で試せるトライアルを受け付けています。トライアル終了後に自動で有料プランへ切り替わることはありません。なお、フィラクスを導入しただけで法律上の措置義務への対応がすべて完了するわけではありません。方針の策定や相談体制の整備とあわせて、教育と理解度の確認に活用していただくことを想定しています。

よくある質問

Q. 日本人のハラスメント理解度はどのくらいですか。

民間調査では、ハラスメントの境界線を「正しく理解している」と答える人は15〜28%で、5〜6割は「理解しているつもりだが自信がない」と答えています。言葉は広く知られていますが、具体的な場面で判断できる人は少数にとどまっています。

Q. 厚生労働省のハラスメント実態調査の最新版はいつのものですか。

2026年11月時点の最新版は、令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」で、2024年5月に公表されました。企業7,780社と労働者8,000人の回答をもとにしています。

Q. 企業が対策をしているのに、従業員に伝わらないのはなぜですか。

同じ調査で、パワハラ対策を実施している企業は95.2%でしたが、勤務先の取組を認識している労働者は41.8%でした。窓口や方針を設けても、従業員に繰り返し周知されていないことが主な原因と考えられます。

Q. 2026年10月から何が義務化されましたか。

カスタマーハラスメント対策と、就職活動中の学生など求職者へのセクハラ対策が、2026年10月1日から事業主の義務になりました。企業の規模にかかわらず、従業員を雇うすべての事業主が対象です。

Q. ハラスメント研修の効果はどう測ればよいですか。

研修後に、職場の具体的な場面を題材にした設問で理解度を確かめる方法があります。結果を部署別・類型別に見ることで、どこに追加のフォローが必要かを判断しやすくなります。

まとめ

日本のハラスメント理解度を公的データと民間調査から見ると、言葉は広く知られている一方で、判断の自信と社内制度の周知が追いついていないことがわかります。企業の9割以上が対策をしていると答えても、従業員の6割は取組を把握しておらず、被害を受けても半数近くが声を上げていません。

2026年10月の義務化によって、方針や窓口を整える企業はさらに増えるでしょう。ただし、本当に問われるのは、その中身を従業員一人ひとりが理解し、迷ったときに使えるかどうかです。まずは自社の従業員がどの程度理解しているのかを確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。 フィラクスの3ヶ月無料トライアルや導入のご相談は、お問い合わせフォームまたは電話(06-6251-2540、平日10:00〜17:00)で受け付けています。

参考資料

RELATED

関連する記事

PHYLAXについて、詳しくご説明します

サービス資料の請求・デモのご依頼はこちらから。