事案の概要
三重県伊賀市の稲森稔尚市長(42)が、市の職員に対してパワハラ発言をしたとされる問題です。市議会の百条委員会がパワハラと認定する報告書をまとめ、10月30日の本会議で市長への辞職勧告決議が可決されました。市長は発言そのものを否定しており、辞職しない考えを示しています。
経緯
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2024/12/26 | 市長が担当課長(当時)に、公共施設の売買契約の解除を指示した際に発言があったとされる |
| 2026/10/23 | 百条委がパワハラ認定の報告書をまとめる |
| 2026/10/29 | 百条委委員長が報告書を議長に提出 |
| 2026/10/30 | 本会議で報告書を可決。偽証の告発議案と辞職勧告決議も可決 |
発言の内容
旧上野ふれあいプラザの売買契約をめぐり、市長は、買い受けた民間業者が特定の社員を雇用していることを理由に、すぐ契約を解除するよう担当職員に指示したとされます。職員は、このとき市長から「やらないなら、あなたの処遇も考えますよ」「異動希望を書いてください」などと言われたと訴えています。当時の上司も、目の前で言っていたと証言しました。
やり取りは電話と、資産経営課での対面の2回でした。
百条委の判断
百条委は、国のパワハラ指針のうち「業務上必要な範囲を超える」と「就業環境を害する」の2点を検討しました。
- 業務上の必要性:業者の従業員の雇用を理由に契約解除を迫ったとして、業務上必要な範囲を逸脱したと認定しました。処遇に関する発言についても、人事権を振りかざしたものとしています。
- 就業環境:市長の発言や態度によって、働くうえで看過できない程度の支障が生じうると判断しました。
市長側の対応
市長は議決を重く受け止めるとしながらも、事実認定に重大な誤りがあると述べ、発言を改めて否定しました。司法の場で争う姿勢も示しています。
企業向けに伝えられるポイント
- 人事に触れる一言がパワハラと判断される:暴言や怒鳴り声がなくても、指示に従わせるために処遇や異動を持ち出すと、人事権を背景にした言動と評価されます。
- 繰り返しでなくても認定される:横浜市長の事案は日常的・継続的な言動が問題とされましたが、伊賀市の事案は1日の2回のやり取りでした。
- 本人が否定しても、同席者の証言で認定される:言った・言わないの争いでも、その場にいた第三者の証言が判断を左右しました。
フィラクスにつなげるなら、2つの切り口があります。1つは、管理職が「指示を通すために処遇を持ち出すこと」の危うさを事前に学べることです。もう1つは、教育を実施していた記録を残せることです。
掲載時の注意
- 市長はパワハラを否定しており、争う姿勢を示しています。本文では「パワハラをした」とは書かず、「百条委員会がパワハラと認定した」と、主語を明確にしてください。
- 偽証の告発は、10/30時点では議会が議決した段階です。実際に告発されたかどうかや、捜査の状況は確認できていません。
- 辞職勧告決議に法的な拘束力はありません。
- 実名を出すのは報道済みの事実の範囲にとどめ、評価や推測は加えないことをおすすめします。
出典
| 内容 | 出典 |
|---|---|
| 発言の内容、上司の証言、10/30の議決、市長のコメント | 伊賀タウン情報YOU(10/30) |
| 指針の2要素での判断、「人事権を振りかざした」、2回のやり取り | 読売新聞(Yahoo!・10/25) |
| 10/23の報告書とりまとめ、告発方針 | 共同通信(Yahoo!・10/23) |
| 10/29の議長への提出 | 中日新聞(10/29) |
| 辞職勧告決議の可決 | 共同通信(Yahoo!・10/30) |
| 市長の「事実認定に重大な誤り」、司法で争う姿勢 | メ〜テレ(Yahoo!・10/31) |
| 辞職勧告の理由(職場環境の悪化、市民サービスへの影響) | 三重テレビ(Yahoo!) |